2023(令和5年)12月議会・一般質問
日時12月13日(水)
一般質問 質問事項・要旨
はせ かずや(一括)
答弁を求める者 市長・部長
1、本市の救命救急の現状について
(1)消防本部救急搬送の現状について
(2)市民病院の救命救急受け入れの
現状について
(3)休日・平日夜間急病診療所について
(4)今後の救命救急業務重点項目について
(議長! 19番)
それでは、先に通告いたしました「本市の救命
救急の現状について」順次質問をさせていただき
ます。
近年、喧噪な都会を離れて自然回帰を求め、田舎
暮らしやスローライフという生き方にあこがれる
風潮があることは事実です。しかしながら、その
前提条件としては、健康であることが最も大事な
要件と言えるでしょう。急な発病や怪我にみまわ
れたとしても、その人の命が住んでいる地域に
よって救われる場合もあれば、死に至る事態を招
く危険があるという現実を忘れてはなりません。
春日井市に住んでいて良かったと市民が安心でき
るよりどころは、救命救急の備え・仕組みなど
さまざまな環境が整っていることが重要と考え
ます。市民の安全・安心の支えであるこの本市
の救命救急の現状について、さまざまな角度
から質問させていただきます。
まず、小項目(1)として、消防本部に救急搬送
の現状についてお伺いします。
本市の救急出場件数と搬送人員、また搬送す
る病院の内訳について伺います。 また、急病人
や怪我、交通事故などにより119番通報され、
救急車が救急出動し現場に到着する「現場到着
時間」と119番通報から病院収容までの到着時間
「病院収容時間」について本市の平均時間はどう
なっているのか、また参考として全国及び愛知県
の平均時間と比較してどのような現状となって
いるのかについてお伺いいたします。
次に、平成27年に県から第3次救急医療機関
である救命救急センターに指定され、尾張北
部医療圏における命のとりでとなっている
市民病院に、小項目(2)として救命救急受け
入れの現状についてお伺いします。
令和4年度の救急搬送やウォークインをあわ
せた救急患者受入数についてはどうなってい
るのでしょうか。また、そのうち救急車の
搬送患者数とどのような市町村からの受入れ
をしているのかについてお伺いいたします。
消防本部と市民病院には、過去にもその実績
を議会及び委員会などで質問したことがあり、
その実績は県下でも優秀なものであることは
承知いたしておりますが、
市民の命を守る上で重要な役割を担っている
休日・平日夜間急病診療所の存在を忘れては
なりません。休日・平日夜間急病診療所は、
地域のかかりつけ医の診療時間や診療日の
隙間を埋める機関として、平成26年に柏原
中学校北から現在の市民病院救命救急セン
ター隣接の場所に移転してはや10年が経過
いたします。この急病診療は、春日井市医
師会、春日井市歯科医師会、春日井市薬剤
師会の協力により、各会員の当番制で日
夜運営されているものです。
そこで、小項目(3)としてこの休日・平日
夜間急病診療所についてお伺いします。
過去5年間の年間受診者数はどうなってい
るのでしょうか。また、受診者数の推移
から休日・平日夜間急病診療所の特徴、
役割について、市としてどのようにお考え
になっているのかについてお尋ねいたします。
最後に、小項目(4)として、今後の救命
救急業務重点項目についてお伺いします。
消防本部におかれましては、7年前に
一般質問でお尋ねした際、重点項目は薬剤
投与ができる認定救急救命士が全ての救急
車に2名できる体制の確保というご回答で
あったと記憶しておりますが、現状はどう
なっているでしょうか、お伺いします。
また、市民病院におかれましては、
2024年から始まる働き方改革による医師
の負担軽減が重点項目と承知しております。
いずれも人の問題と思いますが、市民病院
救命救急センターに従事する医師の負担
軽減についてどのような方策をとっておら
れるのかについてお伺いします。
以上壇上からの質問といたします。
(市の回答)1-1
本市の令和4年中の救急出場回数は
15,645件、搬送人員は14,445人だ。
主な収容医療機関は、春日井市民病院が
7,954件で全体の51%と最多であり、
次いで名古屋徳洲会総合病院が
4,281件で全体の27%、小牧市民病院
が785件で全体の5%となっている。
これより、公表されている令和3年中の
データとの比較になるが、現場到着平均
時間と病院収容平均時間の国及び県と
本市の現状では、現場到着平均時間の
全国平均は9分24秒、愛知県は8分06秒、
本市は7分18秒で、愛知県内では3番目に
早い地域となっている。
次に、病院収容平均時間の全国平均は
42分48秒、愛知県は33分30秒、本市は
28分42秒で、春日井市民病院をはじめと
する関係医療機関の協力により、愛知県内
では3番目に早い地域となっている。
(市の回答)2-1
市民病院の救命救急センターにおける令和
4年度の救急患者受入数は27,574名で、
そのうち救急車による搬送患者数は
9,410人だ。内訳は、春日井市内が7,410人、
小牧市が999人、名古屋市が592人、
県外を含めその他409人となっている。
(市の回答)3-1
休日・平日夜間急病診療所の過去5年間の
受診者数は、平成30年度は13,559人、
令和元年度は12,060人、令和2年度は
3,353人、令和3年度は4,478人、
令和4年度は13,212人。受診者の推移
からみると、令和2年度 と3年度はコロナ禍
の影響による受診控えやインフルエンザ患者
の減少などにより年間の受診者数が大幅、
に激減した。こうした状況の中令和4年2月
以降、市医師会等の協力により、新型コロ
ナウイルス感染症の検査や受診体制を整備
したことから、令和4年度は受診者が増加に
転じ、コロナ前と同水準になっており
第一次救急医療に関して市としての役割を
充分に担っているものと認識している。
(市の回答)4-1
薬剤投与が可能な認定救急救命士の各隊2名
以上の配備状況については、9台の救急車を
3交代制で運用し、27隊中26隊への配備が
完了している。令和5年12月1日現在の救急
救命士の運用状況については、気管挿管救急
救命士が21名、処置範囲拡大救急救命士が
35名となっている。(消防本部)
市民病院救命救急センターにおいては、
多くの救急患者を迅速かつ適切に診察して
いく必要がある。
そのため従事する医師の負担軽減が少しで
もできるよう、受診前の重症度を測るトリ
アージや採血などの検査、紹介状に対する
返信、診療録の代行入力などを、医師以外
の医療従事者が法令に基づき、職種の専門
性をいかして業務を担っている。(市民病院)
(議長! 19番)
それぞれお答えいただきました。大項目1
小項目(1)救急搬送の現状に関しましては、
本市消防本部の救急車現場到着時間、病院
収容時間とも平均時間が、県・国の平均時
間と比較してレベルの高いものであること
がわかりました。緊急出動をして救急車が
現場に到着し、傷病者に接触・観察し重要
度・緊急度を判断し受入れ要請をしながら
収容先の病院に運び込む時間こそが救命救
急の原点であると推察いたします。
そこで2回目の質問として、本市消防本部
において緊急搬送件数に対する病院に対す
る2回以上の収容依頼件数はどうなってい
るのかについてお伺いいたします。
小項目(2)市民病院の救命救急受け入れの
現状についてでは、救急患者受け入れ数の
多さに改めて驚きました。27,574名を日数
で割ると1日当たり平均75名であり、夏場
の熱中症や交通事故などを想定すると日に
よってはかなりの受入数と思います。また、
市内のみならず、市外県外からの救急患者
受入れの実績についても驚きました。
そこで市民病院に2回目の質問をいたします。
昨年度新棟に新たに手術室が完成したことに
より、救命救急においてどのようなメリット
があるのかについて伺います。
小項目(1)から小項目(3)の1回目の質問に対
する回答から、市の救命救急体制を利用して
いる市民の方が数多くいることがわかりました。
しかしながら、従来から課題となっているのは、
救急医療のかかり方です。救急医療適正利用に
ついての呼びかけは、各種講習やイベント時、
市の広報、ホームページ等でこれまでも市民
に対してお願いをしているものの、なかなか
理解が進んでいるのか判断しづらいところが
あります。また、あまり過剰に啓発すると本来
救急車を利用し救命する必要がある時に市民が
躊躇してしまう可能性もあり、人命に関わるこ
とも考えられ、慎重に取り組む課題でもありま
す。それと同時に救急医療体制を適切に 利用し
ていただくことが春日井市の救命救急体制の
維持につながるものと認識しております。
そこで、小項目(3)の2回目の質問として、
市民病院救命救急センターに隣接する現在の場所
に移転して約10年経過した休日・平日夜間急病診
療所のメリット・デメリットをどのように考えて
いるのかを伺います。また救急医療の利用に関し
て市民の更なる理解が大切であると考えますが、
今後どのように周知、啓発をしていくのかについて
お伺いいたします。
小項目(4)今後の消防本部及び市民病院の救急
業務重点項目について、消防本部及び市民病院に
お答えいただきました。やはり本市の救命救急を
支えているのはそれぞれの現場において。働く
人材であると思います。市民病院には以前委員会
でも質問しましたが、あまりにも過酷な労働環境
では、働く医師の確保が大丈夫なのかという懸念
を伺ったこともあります。
小項目(4)の2回目の質問は、消防本部に伺いたい
と思います。認定救急救命士の配備等に関して
7年前に質問した際とは大きな変化がおきている
ものと思いました。
消防本部は、認定救急救命士や救急隊員の人材の
育成に関して過去数年間、どのように取り組んで
現在に至っているのか、また、人材育成の今後の
展望についてどのように考えておられるのかに
ついてお伺います。
(市の回答)1-1
搬送する病院を決定する際、最初の病院に断られ
2回以上収容依頼をした件数については、令和4年
中は、1,116件で約7.8%となっており、令和3年
中は478件、約3.7%となっている。
(市の回答)2-2
第2診療等に新設したハイブリッド手術室では、
血管撮影装置を備えており、患者が重症の多発性
外傷や血管破裂などによる出血で救急搬送された
場合に、血管撮影装置を用いた検査や止血処理を
行った後、患者を移動することなく、続けて複数
個所の手術を行う事ができるため、迅速に治療す
ることがが可能となっている。
(市の回答)3-2
市民病院の救命救急センターに隣接する利点に
ついては、休日・平日夜間急病診療所では対応
が難しい患者が来院した場合に、救急車や自家
用車で移動する必要なく、直ちに市民病院の
救命救急に搬送することが出来ることだ。
また急な発熱や風邪などの患者を休日・平日夜
間急病診療所が対応することで、本来市民病院
が担うべき重症患者に対する救急医療の医療体
制の確保に役立っていると考える。
なお開設当初は、急病診療所と市民病院の救命
救急センターの入口が同じ場所になることによ
り、市民の皆様が混乱するのではないかという
懸念があったが、看板等を設置し、受付の職員
が丁寧な案内を行う事で、患者の状態に応じた
選択がなされており、適運営されていると認識
している。
次に、救急医療の適切な利用に関しては、
今後も健康ガイドや広報春日井、市ホーム
ページのほか、健康救急フェスティバルな
どのイベントや各種講座など、様々な機会
を活用し周知啓発に努めていく。
(市の回答)4-2
救急隊員の人材育成の現状については、
10名の指導救命士を中心として、認定救急
救命士を含めた隊員教育と次世代の指導者
育成を重視した教育体制を構築している。
この教育体制のもと、平成28年度から令和
4年度までの新規認定資格の取得状況につい
ては、気管挿管救急救命士が12名、処置範囲
拡大救急救命士が30名で、指導者については
救急業務教育指導者が26名、指導救命士が
6名となっている。 今後も増加が予想される
救急需要に対し、高度で適切な処置ができる
救急隊員と指導者の育成を継続し、救急体制
の充実を図っていく。
(議長! 19番)
それぞれお答えいただきました。小項目(1)救急
搬送の現状に関しましては、1回の病院収容依頼
件数決定が92.2%であり、安定した信頼の実績を
積み上げてきたものと思います。令和3年がコロナ
禍の実績であり、令和4年が複数収容依頼件数が
比較して多少増加したものの安心できるものと
思います。
また、小項目(2)の市民病院においては、新棟
に設置された新たな手術室が救命救急の処置に
関して効果を上げていることがわかりました。
小項目(3)の休日・平日夜間急病診療所への理解
については継続的にお願いし、市の各部署に
職務が偏らず効率的に運用できるよう市民へ
の周知、啓発を引き続き繰り返しお願い申し
上げます。
小項目(4)今後の救命救急業務重点項目について
では、特に消防本部の人材育成について伺いまし
たが、7年前にお尋ねした救急隊員の資格取得者
の人数や指導者育成の体制が大きく進歩している
ことがわかりました。
本当に心強いことであります。
本年3月に春日井市第6次総合基本計画改定版
が策定されましたが、それに先立ち令和3年
に行われた市民意識調査結果を見ても、
春日井市の「取組み」に対する「満足度」の中
で、生活圏内で適切な医療を受けられる体制や
救急医療体制の充実が満足度指数2位、消防・救
急体制の充実は満足度指数3位であります。
また、春日井市の「取組み」に対する今後の
「重要度」に関しても、医療が3位、消防・ 救急
が5位となっており、「満足度」「重要度」が高く
現状の水準を引き続き重点的に維持すべき取組に
医療・救急とあり、市民から大きく期待・評価さ
れていることがわかります。
石黒市長が市長に就任して公約された「市民の命
を守る」という宣言を裏付けるべく、 かかりつけ
医とその時間帯・曜日を補う休日・平日夜間急病
診療所の存在意義、基幹病院として急性期医療や
救命救急に懸命に向き合う市民病院、市民の身近
な手足として優秀な人材を配備して機能する消防
本部に感謝し、私の一般質問を終わります。